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「『会社法制の現代化に関する要綱試案』に関する意見募集」に対する意見の提出



                          平成15年12月24日

法務省民事局参事官室御中

                    日本大学法学部商事法研究会
                            代表 坂田 桂三

 法務省民事局参事官室は、「『会社法制の現代化に関する要綱試案』に関する意見募集」(以下「要綱試案」という。)を、法務省のホームページのパブリック・コメントのページに掲載して意見を
募集した(「会社法制の現代化に関する要綱試案」については、商
事法務号(平成一五年)〜頁に掲載されているので、参照された
い)。そこで日本大学法学部では、これに応えるべく平成一五年一
一月二九日および同年一二月一三日に商法の研究者等により構成さ
れる商事法研究会を開催して、右意見を検討した(当研究会の参加
者は、次のとおりである。一一月二九日は、坂田桂三(教授)、西
川昭(教授)、石山卓磨(教授)、松嶋隆弘(助教授)、大久保拓
也(専任講師)、益井公司(専任講師)、山口和男(弁護士)、山
田治男(弁護士・前教授)、松井一郎(前教授)、坪川弘(横浜商
科大学教授)、中村良(非常勤講師)、小菅成一(東海大学非常勤
講師)、吉田夏彦(国士舘大学非常勤講師)、田代有嗣(弁護士・
前教授)、高岸直樹(校友・税理士)、松嶋康尚(校友・税理士)
および大学院生。一二月一三日は、坂田桂三(教授)、西川昭(教
授)、松嶋隆弘(助教授)、大久保拓也(専任講師)、益井公司
(専任講師)、山口和男(弁護士)、山田治男(弁護士・前教授)、
松井一郎(前教授)、坪川弘(横浜商科大学教授)、田邊宏康(専
修大学助教授)、中村良(非常勤講師)、小菅成一(東海大学非常勤
講師)、吉田夏彦(国士舘大学非常勤講師)、田代有嗣(弁護士・
前教授)、松嶋康尚(校友・税理士)および大学院生。また、秋坂
朝則(本学商学部助教授)および高岸直樹(校友・税理士)は意見
書を提出している。)。そして、右研究会の意見を取りまとめ、こ
れを意見書として同年一二月 日に法務省民事局参事官室に提出し
た。以下に掲載するのが、「『会社法制の現代化に関する要綱試
案』に関する意見募集」に対する意見である。

 なお、本意見書の取りまとめは、松嶋隆弘、大久保拓也が担当した。

第一部 基本方針
 当研究会としては、「会社法制の現代化に関する要綱試案」(以下「本試案」という。)が掲げる1 会社法制の現代語化、2 実質改正という基本方針に賛成する。
 ただし、次の点については、意見があったので付記する。改正にあたって、特に留意されることを要望する。
 (一)本試案の内容の中には、倒産の場面を意識した「実質的倒産法」ともいうべき規定が散見されている。個々の規定の当否は、後述するとして、かかる実質倒産法的な規定が、一般法典たる会社法(仮称)の中に何の留保もなく挿入されることは、紛らわしいだけでなく、倒産の場面において認められているものが過度に一般化してしまい、弊害も多いので、疑問である。
 (二)商法第2編、有限会社法、商法特例法等の各規定について、1つの法律としてまとめることは賛成であるが、有限会社法が廃止され株式会社制度の中に組みこまれる場合、既存の有限会社に対し事実上看板のかけかえなどを強いることになるのみならず、かえって規制が強化され、定款自治のメリットが失われてしまうのではないか(なお、本試案および会社法制の現代化に関する要綱試案補足説明を読む限り、直接には有限会社を廃止するとは書かれていないようであり、このような本試案の書き方自体も、疑問である。)。
 それのみならず、有限会社を廃止しても、後述する(第6部)日本型LLCが新たに認められ、しかもそれが有限会社の現行規制とほぼ大差ないものであるとすれば、一体何のために有限会社を廃止するのであろうか。この点改正の基本理念に疑問があるのではないか。
 (三)会社法制を大幅に変更する場合、会社法制を支える商業登記制度についても十分な配慮が必要であり、登記行政に無用な混乱を招かないように十分に考慮されたい。
 (四)会社法制を大幅に変更する場合、会社法制と密接に関連する税制についても十分な配慮が必要であるのは当然である一方で、税務上のニーズに引きずられ、実体法上の制度がゆがむことのないよう配慮することも重要である。改正に当たって、くれぐれも留意されたい。

第二部 総則関係
1 会社の商号
(1) 商号の登記

 当研究会は、商号の登記に関し、会社に係る商法19条の規制を廃止することに賛成する。
(2) 不正競争目的の商号使用
 この点について当研究会においては、統一見解をまとめるには至らなかった。ただ、議論の中では、不正競争防止法の規制に委ねる方が、登記実務に無用な負担をかけず、かつ、規定としてすっきりするという理由からc案を支持する意見が多かった。
2 支店の所在地における登記事項
 当研究会は、基本的にはこの提案に賛成する。
 ただしこの点に関連し、商業登記のコンピュータ化について、現行の制度には限界があり、よりIT化が促進されるべきであり、かつ、IT化の進展状況により、今後継続的に登記事項について見直しが行われていくべきであるとの意見が出された。
3 使用人
(1) 支配人の登記

 当研究会は、基本的にはこの提案に賛成する。
 ただし支配人制度に関連し、近時所謂商工ローンなどで支配人制度の濫用ともいうべき事態が見受けられるので、所要の規定の整備による対処が望まれるとの意見が出されたので付記する。
(2) 会社の支配人の競業避止義務等
 当研究会は、基本的にはこの提案に賛成する。使用人については取締役と同程度の規定でよいと考えるからである。
 なお、3に関連し、商法総則に残される個人商人の商業使用人に関しても、会社法典の作成後引き続き、見直しがなされるべきであるとの意見が出されたので付記する。

第三部 合名会社・合資会社関係
1 合名会社・合資会社の会社類型の取扱い

 当研究会は、基本的にはこの提案に賛成する。ただし次の意見があったので付記する。改正にあたり留意されたい。
 (一)合名会社・合資会社を一体化するに際して、既存の会社に対し事実上看板のかけかえなどのコストを強いることになってしまうのではないか。
 (二)合資会社については、近時株式会社・有限会社における最低資本金制度を潜脱する目的で利用されている例が見受けられるので、所要の規定を整備し、これに対処することが必要なのではないか。もっともこの点は、最低資本金制度のあり方とも関連するので、第四部第2の1において後述する。
2 一人合名会社
 当研究会は、この提案に賛成する。
3 法人無限責任社員
 この点について当研究会においては統一意見をまとめるに至らなかった。ただ、次の意見が出され、どちらかというと反対意見の方が有力であった。改正にあたりくれぐれも留意されたい。
 (一)イギリスの会社法改正の議論の中で、現行法では認めている法人が取締役になることを廃止すべきとの議論があることに鑑みれば、比較法的見地からみて、この改正提案は時期尚早であるのではなかろうか。
 (二)これにより、かつて存在した株式合資会社的な会社類型が認められてしまうとすれば、株式会社・有限会社よりも劣る制度が復活することになってしまうので、極めて疑問である。
4 株式会社への組織変更
 当研究会は、この提案に賛成する。

第四部 株式会社・有限会社関係
第一 総論

 当研究会としては、会社法典を作るのであれば、規定の整理自体は望ましいものと考える。その意味で規定の一本化自体に反対するものではない。しかし本試案は、譲渡制限の有無で会社類型を大別し、さらに譲渡制限のある会社について取締役会の設置で区別をしようとしている。譲渡制限があり、かつ、取締役会を設置しない株式会社の中に、現行の有限会社法制をはめ込もうとしているように見受けられる。
 しかし、(法典を整備し、規制を簡素化する努力は買うとしても)取締役会設置の有無は、会社類型区別のメルクマールとして使用することには疑問がある。取締役会は、もともと昭和二五年商法改正前の株式会社においては強制されていなかったものであり、区別の基準として弱いといえるからである。改正にあたっては、これまでの大小会社区分立法における学問的議論の蓄積が参照されるべきである。
 当研究会の結論として、本試案の掲げるような形での一本化については反対する。
 なお、有限会社の廃止を巡り、本意見書冒頭に掲げた意見があったことも併せ参照されたい。

第二 設立等関係
1 最低資本金制度
(1) 設立時における払込価額規制

 最低資本金については、諸外国がこれを引き上げようとしているところに引き下げるのは比較法的見地からして疑問であることおよび最低資本金を引き下げても泡沫会社を作るだけでありかえって問題が大きいことから、当研究会としては、基本的に現行法制のままでよいと考える。仮にどうしても引き下げなければならないのであるとすれば、a案を(消極的に)支持することになる。
 なお他の点とも関連するが、当研究会における審議の過程において、経済界・実務のニーズに引きずられ、規制を緩くするのみの改正を行い、会社制度の本質を損なうことのないようにされたいとの意見が多数出されたので、付記する。改正にあたりくれぐれも留意されたい。
(2)(3)については、(消極的にしろ)a案をとる当研究会としては、検討の対象とはしない。
2 払込取扱機関
 当研究会は、本試案に賛成する。
3 募集設立
 当研究会は、本試案に賛成する。
4 設立時の定款記載事項
 当研究会は、本試案に賛成する。
5 事後設立
 当研究会は、事後設立についての本試案の立場に反対し、現行法の規制を維持すべきと考える。会社の開業率・廃業率の逆転減少への対処としては、産業活力再生特別措置法などの特別法の規制に委ねるべきであり、一般法典である会社法典の本質を損なうような改正をなすべきではない。
6 現物出資・財産引受け
(1) 検査役の調査を要しない場合

 当研究会は、Aの点は賛成するものの、それ以外の部分については、本試案の立場に反対する。
 特にBについては、債務の株式化(Debt Equity Swap)を念頭においた規定と推測されるが、債務超過の場面における債務の株式化の有用性は否定しないものの、かかる実質的意義における倒産法的な色彩の強い規定を一般法典たる会社法典に安易に持ち込むことはいたずらに混乱をもたらすのみならず、制度の濫用を招き妥当でないと考える。
(2) 現物出資等に関する関係者の責任
 この点について、当研究会においては、統一見解をまとめるには至らなかった。ただ、現行の規制を維持すべきであるとの意見が比較的強かったことを付記する。

第三部 株式・持分関係
1 株式等の譲渡制限制度
(1) 株主・社員間の持分の譲渡に係る取扱い

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(2) 譲渡制限に係る定款記載事項
 この点について、当研究会においては、統一見解をまとめるには至らなかった。賛成意見は、企業承継の問題に配慮し、非公開会社の特質を踏まえた適切なものだというものであり、反対意見は、@の「特定の属性」とは何かなど不明確な点が多く支持できない、というものであった。
(3) 一部の種類の株式についての譲渡制限の定め
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(4) 取得者からの承認手続と名義書換手続
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
2 市場取引等以外の方法による自己株式等の買受手続
(1) 買受手続

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(2) 特定の場合における手続の特例
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
3 自己株式に係る株主の権利の内容
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。なお討議の過程では、自益権という概念の中に何が盛り込まれるのか不明確であるという意見があった。
4 子会社による親会社株式の取得
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
5 自己株式の市場取引による売却
 本試案によると、例えば商法280条ノ3ノ2の適用が外され、株価操作がより認められやすくなってしまうのではなかろうか。それに金庫株の売却の場合を新株発行と取りたてて区別する必要にも乏しいと思われる。市場取引が多様化している現在、市場取引だから公平であるという仮定のもとに、むやみに規制を緩和することはかえって弊害を産むものと解される。以上のところから、当研究会は、本試案の立場に反対せざるを得ない。
6 株式の消却
(1) 消却に関する定款規定の設定手続等

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(2) 定款に基づかない強制消却
 @ 株主の持株数に応じた株式の一部の強制消却

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
 A 定款に基づかない株主の多数決による強制消却
 当研究会は、本試案の立場に反対する。かような実質的意義における倒産法的色彩の強い規定をむやみに一般法典である会社法典に持ちこむことには賛成できない。他の倒産法制においてしかるべく規制すれば足り、かつその方が筋であると思われる。
(3) 授権株式数の変更の取扱い
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
7 種類株式
(1) 有限会社における種類株式に相当する制度

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(2) 剰余金分配・議決権等に関する別段の定め
 定款自治の問題であるので、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(3) 議決権制限株式等の発行限度
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(4) 強制転換条項付株式
 所謂デッドロック状態を短くしようとするものであるので、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(5) 種類株式の内容に係る定款変更
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
8 法定種類株主総会
(1) 商法345条1項の要件

 これまで不明確だったものが明確になるので、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(2) 商法346条の規定による種類株主総会
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(3) 議決権制限株主の買取請求権
 解釈上争いのあるものを明確にする趣旨であるなら、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
9 端株・単元株
 株主代表訴訟を徒に困難にさせる改正はなすべきでないという反対論も強かったが、他方において、一本化により制度が明確になるとする賛成論もあり、結局のところ当研究会では統一意見を出すに至らず、両論併記となった。
10 議決権制限株主その他の株主の少数・単独株主権等
(1) 議決権基準・株式数基準

 この点について、株式数を議決権数に改めたばかりなのにまたすぐにそれをもとに戻すのはおかしいという反対論と、議決権数は不安定であるから、本試案の立場に賛成するという賛成論が対立し、当研究会では統一意見を出すに至らず、両論併記となった。
(2) 株主総会に関連する少数・単独株主権等
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(3) 特定の決議事項に関連する少数株主権等
 当研究会は、b案の立場に賛成する。
(4) 少数株主権と少数社員権の行使要件
 緩和が進んできた少数株主権の行使要件を制約するのは疑問であり、当研究会は、本試案の立場に反対する。
(5) 株主名簿等の閲覧・謄写請求権
 実務上の取扱いを明確にするものであるので、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
11 基準日
(1) 基準日後の株主の議決権

 結論として、当研究会は、本試案の立場に賛成するが、立法にあたっては、株主平等原則へ配慮しつつ作業にあたられたい。
(2) 新株主の配当起算日
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
12 新株発行及び増資の手続
(1) 譲渡制限株式会社の新株発行手続
 @ 第三者に対する発行手続

 結論として、当研究会は、本試案の立場に賛成するが、立法にあたっては、「下限」の基準算定を明確にされたい。
 A 株主割当て
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(2) 有限会社の増資手続
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(3) 株式申込証の用紙
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(4) 新株発行の際の公告・通知
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
13 新株発行無効の訴え等
(1) 提訴期間

 譲渡制限会社につき、提訴期間を1年に延長すること自体については賛成する。
 ただ、新株発行不存在の訴えについて、提訴期間の制限がないとする最高裁判決(最判平成15年3月27日民集57巻3号312頁)が出た現在、新株発行無効の訴えの提訴期間後において右不存在の訴えによる蒸し返しができる以上、譲渡制限会社に限って提訴期間を延長する合理性はない。以上のところから、当研究会としては、すべての会社について、提訴期間を1年に延長すべきであると考える。
 なお討議の過程では、この際新株発行不存在の訴えについても、明文規定を設けるべきとする意見もあった。
(2) 提訴可能期間中の口頭弁論の開始
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
14 株主に対する通知又は公告の在り方
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。

第四 機関関係
1 株主総会・社員総会
(1) 株主提案権の行使期限

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(2) 招集地
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(3) 総会検査役
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(4) 書面投票・電子投票
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(5) 議決権の不統一行使・代理人の数
 代理人の数の制限について、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
 議決権の不統一行使について、当研究会では、統一見解をまとめるに至らなかった。
 討議の過程では、(一)現行の法規制通りでよいとする見解と、(二)本試案の立場に賛成する考え方と、(三)有限会社に対し不統一行使を認めるかどうかは別にして、株式会社における議決権の不統一行使に関する現行の制約を一切撤廃すべきであるとする見解とが出された。
(6) 書面決議
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(7) 特別決議の決議要件
 当研究会は、株主の数を問題にすべきでないという理由から、a案の立場に賛成する。
2 取締役の資格
(1) 資格制限

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。なお討議の過程では、譲渡制限会社に限らず、商法254条2項を廃止すべきであるとの意見も出された。
(2) 欠格事由
 @について当研究会では、会社債権者保護の立場からして破産者を取締役にすることを認めるべきではないとする見解と、DIP型倒産処理を念頭におけば、たとえ会社を倒産に至らせた者であれ、人的資源を有効に使うことを認めるべきとする見解が対立し、統一見解をまとめるに至らず、両論併記となった。
 Aについて、当研究会は、試案の立場のうち、証券取引法に定める罪を加えるとの部分については、賛成する。それ以外の部分については、討議の過程でさまざまな意見が出されたが、結局統一見解をまとめるには至らなかった。
3 取締役の任期
 当研究会は、任期を伸張する方向で検討するという本試案の立場に賛成する。
 なお、当研究会としては、一部の賛成はあったものの、(注1)および(注4)の提案に対して反対する。この提案は、取締役の任期がない有限会社的規制をそのまま残そうというものと思われるが、幽霊会社を残さないためにも、任期を要求し、定期的に信任を要求するとともに、その都度登記を必要とすべきであると考える。
 ただ、(注2)の任期を伸張するとして、具体的にどこまで認めるかについては、議論がまとまらず、少なくとも10年は長すぎるという点で、意見の統一をみた。
4 取締役の選解任
(1) 累積投票制度

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(2) 解任決議の決議要件
 当研究会は、株式会社の取締役の解任決議の要件を普通決議とするものとする本試案の立場に賛成する。ただし、かかる改正と同時に、(注1)(注2)に示されているように、累積投票によって選任された取締役の解任要件、(有限会社の監査役も含め)監査役の解任決議の要件は、特別決議とすべきであると考える。
5 取締役会の書面決議
 この点について、当研究会では、書面のほうが形が残るので場合によっては合理的であるとして賛成する意見と、あくまでも取締役相互が顔をあわせて意見交換するという意見の形成過程が重要であるとして反対する意見とが対立し、意見の統一に至らず両論併記となった。
6 取締役に係る登記
(1) 共同代表取締役

 この点について、当研究会では、賛成意見が多かった。しかし、たとえば、同族企業などで、親が後継経営者たる息子に経営を任せる場合、親は会長にとどまるが、息子は未熟だから不安だとして共同代表取締役制度を用いるといったニーズもあるとして、この制度の廃止に反対する意見もあったことを付記する。
(2) 社外取締役
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(3) 代表取締役等の住所
 代表取締役等の住所を登記事項としておくことは、会社に対する訴訟の送達などで実務上重要な意味を有しており、プライバシーにもなお勝るものであるので、当研究会は、これを登記事項から外すことについては反対する。
7 取締役の責任
(1) 任務懈怠責任
 @ 商法二六六条二項・三項に相当する規定の取扱い

 この点について、当研究会では、賛成論と反対論が対立し、統一意見をまとめるにいたらず、両論併記となった。
 賛成論は、本試案の立場は、委員会等設置会社と平仄を合わせるものであり、合理的であること、商法266条2項・3項に相当する規定を設けなくても監視義務で解決すれば足りることをあげる。
 これに対し、反対論は、委員会等設置会社と委員会等設置会社以外の会社との整合性を図る必要はないこと、監視義務よりも立証の容易な商法266条2項・3項に相当する規定による解決が望ましいことを挙げる。
 いずれにせよ、監視義務とのかかわりが問題となると思われるので、改正に当たっては、監視義務の位置づけについてくれぐれも留意されたい。
 A 有限会社の取締役の任務懈怠責任の一部免除
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。ただし、改正に当たっては、債権者保護について留意されたい。
 B 株式会社の取締役の任務懈怠責任の一部免除
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。ただし、改正に当たっては、債権者保護について留意されたい。
(3) 違法な剰余金の分配に係る責任
 @ 過失責任化

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
 A 分配額に係る弁済責任を負うべき者の範囲
 当研究会は、b案に賛成する。
 B 責任の免除のあり方
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。ただし、改正に当たっては、債権者保護について留意されたい。
(3) 期末のてん補責任
 この点について当研究会は、過失責任にしたうえ2分の1も責任を軽減する合理的理由がないこと、資本制度を空洞化するに等しいものであり不合理であることから、本試案の立場に反対する。
 これに加え、剰余金の分配を高度な経営判断事項として取締役会決議により行なうことができるものとするのであれば、現行の期末てん補責任は厳格過ぎると判断することはできないので、現行の規制を維持すべきである、との意見もあったことを特に付記する。
(4) 利益相反取引に係る責任および(5) 株主の権利行使に関する利益供与に係る責任
 商法266条1項1〜4号の責任が無過失責任かについては、従来から学説の対立があったところ、本試案は、委員会等設置会社と平仄を合わせるという理由から、過失責任説を立法的に採用するものといえよう。
 この点について、当研究会においては、過失責任説の立場から妥当な改正であり支持できるという見解と、無過失責任説の立場から支持できないとする見解とが対立し、統一意見をまとめるに至らなかった。
 いずれにせよ、今回の現代化に当たり、解釈上の疑義を整理するために必要であるため、過失責任か無過失責任かについて、条文で明確化すべきであると考える。
8 代表訴訟
 イ いわゆる「訴訟委員会制度」の導入

 当研究会は、かかる制度は不要であると考えるので、本試案の立場に反対する。
 ロ 株主代表訴訟の原告適格の見直し
  @ について

  この点について、当研究会では、両論が対立し、統一意見をまとめるには至らなかった。なお、6ヶ月という要件をもはずすべきであるとの意見があったので特に付記する。
  A について
  当研究会は、本試案の立場に賛成する。
 ハ 担保提供制度
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
9 監査役
(1) 監査役の権限

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(2) 補欠監査役
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
10 使用人兼務取締役等
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。

11 会計監査人
(1) 会計監査人の設置強制の範囲

 @およびAについて、当研究会は、定款自治の範囲を拡大する以上、会計監査任の役割はますます重要になるという見地から、本試案の立場に賛成する。
 Bについては、両論があり、統一意見をまとめるにいたらなかったが、せっかくの規制が尻抜けとならないように、かかる例外を設けるのは望ましくないとする意見が多かったことを、ここに付記する。
(2) 会計監査人の任意設置の範囲
 この点について、当研究会では、本試案に対する賛成論と反対論が対立し、統一意見をまとめるに至らず、両論併記となった。
(3) 会計監査人が設置される場合の機関設計等
 この点について、当研究会では、本試案の各案に対する賛成論と反対論が対立し、統一意見をまとめるに至らなかった。
(4) 会計監査人が不適法意見を述べている場合の措置
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(5) 会計監査人の会社に対する責任
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。ただし、会計監査人の機関としての位置づけを明確にすべきである。
(6) 会計監査人の報酬
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(7) 会計監査人の欠格事由
 この点について、当研究会では、本試案に対する賛成論と反対論が対立し、統一意見をまとめるに至らず、両論併記となった。
(8) 会計監査人の登記
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
12 その他
(1) 重要財産委員会制度

 重要財産委員会については、できたばかりの制度であるので、運用の実態を観た上で改正の是非について慎重に検討すべきであると考える。
(2) 大会社・みなし大会社に係る機関設計
 これについても、会社に選択肢を与えることはいいとしても、できたばかりの制度であるので、運用の実態を観た上で改正の是非について慎重に検討すべきであると考える。
 また、選択肢を広げる場合、あわせて登記事項について、登記行政に支障がないよう配慮すべきである。

第五 計算関係
1 剰余金の分配に係る規制
(1) 会社財産の払戻しに対する横断的規制

 株主総会決議にもとづく自己株式の買受け(商法210条)、取締役会決議にもとづく自己株式の買受け(同法211条ノ3)、および、譲渡制限株式の先買権者に会社が指定された場合の自己株式の取得(同法204条ノ3ノ2)について課せられている財源規制は、確かに、利益の配当(同法290条)または中間配当(同法293条ノ5)の規定に準じたものとなっているので、自己株式の取得全体を剰余金の分配と捉え、利益の配当および中間配当と統一的な基準としての財源規制をかけることには賛成である。
 しかし、現行における配当の財源規制である「資本」概念を維持するのであれば、資本の減少に伴う払戻しは「剰余金の分配」ではなく、また平成14年の商法施行規則の制定(平成14年法務省令第22号)により法定準備金が剰余金とされたからといって(商法施行規則88条〜90条)、準備金の減少に伴う払戻しを「剰余金の分配」として観念することには問題があり、これらの払戻しを含め「剰余金の分配」として統一的な基準を設けることには問題がある。確かに、資本および準備金の減少を剰余金が存在しない場合の分配として観念し、その場合には債権者保護手続きを課しその減少額を剰余金の増加額と考えることにより、他の剰余金の分配と同様に観念することも可能であるが、配当の財源規制として「資本」概念を維持するのであれば、資本および準備金の減少を伴う払戻しは別の基準として規定した方が分かりやすいと考える。
 ただし、この剰余金の分配の財源規制として「資本概念」以外の基準を設けるのであれば、資本および準備金の減少に伴う払戻しについても統一的な基準を設けることには賛成である。
 @ 財源規制を課す自己株式の取得の範囲
 自己株式の買受け以外の有償取得も、会社財産が減少するという事象から考えると自己株式の買受けと区別する必要はないので、自己株式の取得における財源規制を有償取得全般について設けることに、当研究会は、賛成する。
 イおよびロとして示されている事項について財源規制をかけないものとすることについては賛成する。
 (注1)に示されている株式譲渡に制限を定める場合における買取請求につき財源規制を課すべきかどうかについては、この場合における株主の地位の変化と他の事項につき株主の株式買取請求権が認められている場合における株主の地位の変化と比較した場合、どちらの場合においても株主の地位が著しく変化しているということについて変わりはなく、株式譲渡に制限を定める場合における株式買取請求だけに特に財源規制を設ける必要はない。確かに、定款に株式の譲渡制限を設ける決議は、会社が単独で、簡易に、回数制限なく行うことができるため、株式の買取請求に応じて会社が株式を取得する場合に、財源規制を設けないと会社債権者を害することが生じ得る。この点については、別途、債権者保護手続きを設け、株主に対する会社財産の分配よりも債権者を優先させるべきである。
 A 建設利息
 建設利息は将来の収益獲得または費用の減少に貢献するものではなく、会計学上の繰延資産には該当しない。また、現実に繰延資産として建設利息を計上している企業もほとんど見られない。そして、将来の利益を見込み会社に投資する投資家は、ある一定期間利益が生じないことを前提とし投資しているのであり、これらの投資家は将来の利益を見越した株価の値上がりを期待しているものと考えられるので、特に建設利息を認める積極的な理由は見出せない。さらに、建設利息を貸借対照表に計上することにより債権者が害されるおそれがある。このようなことから、当研究会は、建設利息に関する規定を削除することに賛成する。
(2) 現物配当
 当研究会は、現物配当を認めることにつき賛成する。
 ただし、その現物配当が剰余金の分配における分配可能限度額の範囲内であるか否かの判断(違法配当に該当するか否かの判断)をする場合、配当される現物の帳簿価額を基準として判断するのではなく、その時価を基準として判断すべき旨の規定を設けるべきである。
(3) 剰余金分配限度額の計算方法
 第4部第2の1「最低資本金制度」において検討されているように、最低資本金についてはその廃止を含めその引き下げが検討されている。これにより、最低資本金制度が廃止または大幅に引き下げられた場合、会社の責任財産として留保すべきとされる金額が小さくなるという問題(過小資本の問題)が生じる。この剰余金の分配限度額に関する規制が債権者保護のために一定の責任財産を会社に留保すべきものであるという趣旨のものであるとすれば、過小資本の企業に対する規制として、資本を基準とすることには問題があるので、これとは別に、最終の貸借対照表上の負債総額の一定割合を会社に留保すべきであるという規制を追加すべきである。すなわち、現行法の資本を基準とする配当の財源規制と同時に、負債総額による財源規制を設け、両者の基準で計算した分配可能限度額のうち、いずれか小さい金額を剰余金分配可能限度額とすべきである。
(4) 分配可能限度額の算定の基準時等
 @ 分配可能限度額の算定の基準時

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
 A 事後のてん補責任
 イについて、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
 ただし、最終の決算期においていわゆる「欠損」が生じていることが判明した場合に、その後計算書類の確定時までの間に、減資または準備金の減少をすることにより、分配可能限度額を増加させることにより、取締役の事後てん補責任を免除することになるので、ロについて、当研究会は反対する。
 なお、(注)については、計算書類確定の際に決定する剰余金の分配を取締役会の決議により行なうことができるものとする場合には、中間配当などの期中の剰余金の分配と区別する必要性は乏しいので、この場合には、同様の事後てん補責任を課すべできであるので、当研究会は反対する。
(5) 利益処分等に対する会計監査人の関与
 会計監査人の権限が会計監査に限定されていることからすると、最終の貸借対照表の会計監査が十分に行われているのであれば、利益処分等に会計監査人が関与する必要性は乏しい。すなわち、最終の貸借対照表を基礎として計算される分配可能額の範囲内で行われる剰余金の分配の妥当性については、監査役または監査委員会が判断すべきものであり、会計監査人が関与することができるのは、最終の貸借対照表から計算される分配可能額の適否であり、それは特定の加算項目または減算項目が適切にその計算に反映されているか否かであり、特に会計の専門家である会計監査人の関与を必要とする意義は乏しい。
 しかしながら、その加減項目を第三者がチェックすることにより、取締役会は剰余金の分配についてより慎重な判断がなされると考えられ、会計監査人がそれに関与することには一定の意義を見出すことができるので、剰余金の分配全般について会計監査人を関与させるべきである。
2 資本・準備金
(1) 資本の組入れ基準

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
 現行法上、発行価額を超えた額で引受けがなされた場合、発行価額を超える額はすべて資本準備金となるが、この場合、発行価額を超える額と発行価額とを区分して資本の額を算定する合理的根拠がなく、両者は同様の規制とすべきである。
(2) 欠損てん補のための資本減少の決議要件
 会社財産が資本の額未満の状態にある場合、資本の額を会社が保有する純資産額に合わせるために減資が行われたとしても、株主にとっては、処分可能な会社財産が増加することとなり、特に総会の特別決議を要求する理由は乏しいものと考えられるので、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(3) 利益準備金
 剰余金の分配規制を資本の額を基準とするのではなく、一定の金額を基準として行うとともに、最終の貸借対照表における負債総額を基準を用いるのであれば、利益準備金を積立てる目的である過小資本による弊害は解決されるので、利益準備金を廃止することが可能となる。
 ただし、利益準備金を残すのであれば、利益準備金と資本準備金とはその財源を異にするので、この区分を廃止すべきではない。
(4) 準備金の積立て
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(5) 法定準備金の減少額の上限規制
 法定準備金の減少に伴う払戻しについて債権者保護手続きが要求され、一旦減少された法定準備金を剰余金の分配として株主に分配する場合、資本の額ではなく、一定の額にもとづく規制を設けるのであれば、資本の4分の1をその限度とする規制は不要なものとなるので、当研究会は、試案の立場に賛成する。
(6) 自己株式の処分差益の計算上の取扱い
 自己株式の処分と新株の発行との規制を同じものとするのであれば、新株発行により得た資金と自己株式の処分によって得た資金には差がないので、自己株式処分差益は資本準備金に準じた取扱いとすることに賛成する。
 なお、(注2)について、自己株式の処分対価が金銭以外の財産である場合、その財産の価格の適正さを確保する必要性は、新株発行の場合と異なるものではないので、新株発行と同様の措置を講ずるべきである。
3 組織再編行為の際の資本の部に係る計算関係
(1) 株式交換・株式移転の場合

 通常、資産の評価額は受け入れ資産の価額を基準として評価するので、この点について、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(2) 資本増加限度額の算定の際の控除額
 組織再編行為における資本の額の算定における柔軟性を確保するために必要な措置と考えられるので、この点について、当研究会は、本試案の立場に賛成する。

(3).組織再編行為の際の剰余金の計上
 @について

 本来、パーチェス法により企業の組織再編行為の会計処理をする場合には、剰余金の引継が認められないことになるものと考えられる。そのような場合にも、剰余金の引継を認めるべきであるとするならば、増加すべきものとされる資本または準備金を増加せずに、資本剰余金とすることにより処分可能な剰余金を引き継ぐほかない。このような見地から、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
 Aについて
 剰余金の引継ではなく、増加すべきものとされる資本または準備金を組織再編行為と同時に減少しその他資本剰余金とすることは、単に資本および準備金の減少手続きとして捉えることができるので、このような取扱いを株式交換・株式移転に認めるとした場合には、債権者保護手続きが必要であると考える。
 Bについて
 資本・準備金の減少手続きに株主総会が要求されているので、それとの整合制から考え、簡易組織再変更の場合においても、資本・準備金を増加しないこととするためには、株主総会の決議を要求すべきであるので、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(4)いわゆる「合併差損」等が生ずる場合の取扱い
 @について

 持分プーリング法を採用した場合、資産は簿価により引き継がれることになるので、資産を時価評価しまたは暖簾を計上することにより、会社の欠損をなくすことができないので、当研究会は、合併差損を計上することに、賛成する。
 Aについて
 合併差損が生ずる場合、株主に対する情報開示の充実を図るべきであると思われるので、そのような場合には、その組織再編行為が簡易手続きの要件に該当するとしても、株主総会の決議が必要であると考えられるので、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
4 分配機会及び決定機関の特例並びに役員賞与等
 (前注1)、(前注2)および(1)@について、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
 Aについては、利益処分の権限を取締役会の決議事項とする場合であっても、損失の処理および欠損てん補に関する決定権限は株主総会の決議事項とすべきであると考える。
(2) (1)の定款の定めがある会社の定時総会
 利益処分と損失処理とはその意義が異なるので、会社の経営において利益が計上されている場合には、利益処分案を含め取締役会決議とすることには賛成であるので、(前注)のように定時総会を、取締役の選任および計算書類等の報告をする総会とすることには賛成である。しかし、損失処理に関しては株主に関与させるべきであると考えられるので、この場合の定時株主総会の性格を(前注)のように考えることには反対する。
 @について、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
 Aについて、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
(3) 株主からの配当議題提案権
 この点について、当研究会は、本試案の立場のうちd案に賛成する。
(4) 取締役等に対する財産上の利益の取扱い
 業績連動型の報酬が導入されることを前提とした場合、役員賞与は廃止すべきであるという見地から、当研究会は、本試案の立場に賛成する。
5 開示・監査関係
(1) 附属明細書

 附属明細書は株主全員に会計帳簿の閲覧請求権を認めないことの代替として、その作成が義務づけられたものであるので、すべての株主の会計帳簿の閲覧・謄写請求権を認める場合には、附属明細書の作成は要しないものとも考えることができるが、会計帳簿には一覧性がないなど、会計に関する知識が乏しい者にとっては、分かりにくいところがあるので、その作成を要しないものとすることには反対する。
(2) 利益処分案・損失処理案
 利益処分案および損失処理案の理解が向上するものと考えられるので、これらの記載事項および記載方法を法務省令で定めることには賛成する。
(3) 決算公告
 この点について、当研究会では、本試案に掲げるもののうち、a案に賛成する。加えてe案は不当であるという点で当研究会の意見は一致した。

第六 社債・新株予約権関係
 第六について、当研究会は、本試案の立場に賛成する。ただし、社債権者の保護にはくれぐれも留意されるべきである。

第七 組織再編関係
 第七について、当研究会は、本試案の立場に賛成する。特に、2(注5)について、ぜひともかかる立法が望まれる旨の意見が強く主張されていたことを付記する。

第八 清算関係
 第八について、当研究会は、本試案の立場に賛成する。

第九 その他
1 子会社に関する規定

 当研究会は、本試案の立場に賛成する。

2 会社整理・特別清算
 倒産法部会において慎重かつ充実した審議が行われるとともに、パブリックコメントにより各界の意見が十分に反映された上で立法されることが望まれる。

第五部 外国会社関係
1 擬似外国会社

 この点について、当研究会は、本試案の立場のうちb案に賛成する。
2 外国会社の日本における代表者
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。

第六部.その他
1 新たな会社類型

 本試案は、日本版LLCを認めようとするものであるが、かかる制度の採否は、有限会社の廃止とかかわる問題であると思われる。
 そもそも「出資者の有限責任が確保され、会社の内部関係については組合的規律が適用されるというような特徴を有する」会社とは、有限会社そのものではないのか。
 有限会社を廃止して、新たに有限会社とほぼ同様のものを作り出す実務的ニーズはどこにあるのかについて、慎重な検討が必要であると考えられる。有限会社よりもより緩やかな有限責任会社を作出使用とするのであれば、論外であるといわなければならないし、いわゆるパススルー税制のような課税上の便宜だけで、商法上の制度が安易に変更されることのないように慎重な検討が望ましいと考える。
2 罰則
 引き続き検討し、早急に見直しをされるよう要望する。
3 関連規定の整備
 当研究会は、本試案の立場に賛成する。特に冒頭のべたとおり、登記について留意が必要である。

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