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「『株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案』に関する意見募集」に対する意見の提出



法務省民事局参事官室御中

「『株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案』に関する意見募集」に対する意見の提出

平成15年4月30日
日本大学法学部商事法研究会

日本大学法学部商事法研究会は、貴参事官室が公表した「『株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案』に関する意見募集」(以下、中間試案という)について、日本大学法学部商事法研究会の会員で検討を行い、以下のような意見および提案を取りまとめたので、提出する。

株券不発行の定め等(第一編第一1(1))
当研究会は、株券等の不発行の定めに関し、(1)公開会社について株券を不発行とすることが世界的趨勢であること、(2)社債等の振替に関する法律(以下「社振法」という。)においても甲案のような制度は採用しておらず、同法と平仄を合わせたほうがよいこと、(3)甲案では株券を発行する会社としない会社の2種類の会社が併存してしまい、投資家にとってはまぎらわしいことの三点から乙案を支持する。ただ、乙案に対しては、(4)研究会における討議の中で定款自治に対するオーヴァー・レギュレーションであるとの批判もあったほか、(5)基準日前は非公開会社であったが、基準日後に公開会社となったという場合の経過措置について配慮が必要ではないかとの指摘があったことを付記する。

株券の回収の要否等(第一編第一1(2))
当研究会は、株券不発行制度の実効性をはかるという観点から、U案に賛成したい。ただ、討議の過程では、無効となった株券が悪用される虞が否定できないので、別途対策が必要であるとの意見も出されたことを付記する。

株式等の譲渡方法及び名義書換(第一編第一2)
当研究会は、この点に関する試案の考え方に基本的に賛成したい。
株券等の譲渡に関し、中間試案は、きわめて登記制度と類似した考え方を採用しているように思われる。討議の過程では、このような制度のあり方自体に対する批判(中間試案は、譲渡の要件が重すぎるので、現行の指名債権譲渡のような制度を構想すべきである)も出されたが、討議の結果、当研究会としては、中間試案の考え方に基本的に賛成する。
ただ、具体的な手続に関していくつか意見が出されたので以下のとおり付記する。
(1)株式が名義人から順次譲渡されていった場合、不動産の譲渡にいう中間登記のような形を認めるのか。
(2)登記官に形式的審査権しかない不動産登記の場合と異なり、会社サイドが名義書換を拒絶した場合(特に非公開同族会社の場合、会社側が株主サイドの事情を熟知しているので、かかる自体が想定しうる)の処理を考える必要があるのではないか。
(3)本試案のように公正証書や判決まで要求するのは、やや行き過ぎではないか。
(4)定款に譲渡制限のある非公開会社においては、株式譲渡が会社から承認されなかった場合における株式譲受人の保護を、これまで以上に考える必要があるのではないか。

株式等の不発行の定めに伴う所要の手続等(第一編第一3)
当研究会は、この点に関し中間試案に賛成する。

善意取得(第一編第二5)
この点については、社振法と平仄が合っており基本的に支持できるという考え方と、これに反対する考え方とが対立し、研究会としては統一意見をまとめるに至らなかった。ただ、どちらの考え方も、かかる制度について、「善意取得」という名称を付することは混乱を招くので、社振法ともども、その名称について再考すべきである、という点では一致した。
参考までに、反対意見・中間試案に対し提起された疑問を、以下に付記する。
(1)会社が授権枠全部について株式を発行している場合において誤記が生じた場合の処理は、どうなるのか。
(2)中間試案が想定しているのとは逆に、実際より少なく誤記がなされた場合はどうなるのか。

一斉株主通知(第一編第二9)
当研究会は、社振制度の場合と同様の制度であるから、特段の問題はなく、この点に関する中間試案に賛成する。

単独株主権・少数株主権の行使方法等(第一編第二11)
当研究会は、この点についてA案に賛成する。なぜならば、株式の移転時期を振替時とする以上、できるだけ振替口座簿を基準とした簡便な制度設計にした方が望ましいからである(B案の場合、一斉通知がなされたが株主名簿に記載がない場合、権利行使の空白が生じるのではないか。)。ただ、いずれの制度を採用するにせよ、名簿の閲覧に際し、加入者のプライバシーを問題とする必要はないと考える。株主のプライバシーを尊重するあまり、少数株主権が行使された場合に、会社としてその者が誰かを調べることができなくなるのは不当だからである。ただ、討議の過程においては、A案をとると、株主名簿の存在意義が問題となりうるとの指摘もあったので、付記する。

株式会社についての電子公告制度の導入(第二編第一)
当研究会としては、中間試案の考え方に基本的に賛成する。ただし、討議の過程において、(1)デジタル・デバイドの問題に配慮が必要である、(2)証明機関としてどのようなものが想定されているのか明らかにされたい、(3)検索エンジンを使えば簡単にURLアドレスを調べることが可能であるのに、右アドレスを登記事項としておくのは奇妙である、といった意見が出されたので、ここに付記する。
なお、討議の中において、中間試案の拠って立つ考え方自体に対する異論も出され、それぞれ傾聴すべき点もあると思われるので、特に付記する。改正にあたっては考慮されるように希望する。
(1)中間試案においては会社の事務管理コスト削減の観点を強調するあまり、株主・債権者の保護がなおざりになっており問題ではないか。
(2)IT化政策を推し進める上で、取り残されてしまう中小零細会社の保護を考えるべきである。

貸借対照表等の公開の方法の見直し(第二編第二)
当研究会は、会社の事務管理コスト削減の見地から、中間試案に賛成する。

10株式会社の各種債権者保護手続における個別催告等の省略等(第二編第三)
当研究会は、債権者保護の見地から、本人が承諾しない限り個別催告すべきであるとして、V案に賛成する。賛成する理由について敷衍すれば、以下のとおりである。
(1)パソコンをもっていない債権者や株主に配慮していないから、この改正事項は行き過ぎである。特に零細会社の債権者ほど個別催告が必要であるにもかかわらず、かかる者はパソコンを有していな者が多いことから、これを電子化をするのはおかしい(いわゆるデジタル・デバイド)。
(2)中間試案の補足説明では、諸外国においてもすべての債権者保護手続に個別催告を要求している立法例は少ないという指摘があるというが、逆に、日本では諸外国より債権者保護に厚いということもできるのではないか。

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